それは、小さな小さな、幸せを運ぶ物語。
大きな海へ。
着物の船は遠くへ遠くへ。
全力で漕いだオールは折れることを知らない。
止まったオールは折れてしまう。
心の中にはガソリンはなく、心の外には滑車もない。
動力は一つじゃなきゃいけないわけじゃない。
一つ欠けてもスピードは落としたくない。
走り方は風が知っている。
笑顔の中に咲く花もある。
涙の中に、咲く花もある。
その花めがけて生きていく。
その花揺らして生きていく。
種を飛ばせ。
遠くへ飛ばせ。
風との婚姻は、やがて大きな実を結ぶ。
風を吹かせ。笑顔で吹かせ。
同じ風は二度吹かぬ。
同じ風は二度吹かぬ。
一期一会のこの出逢い。
一生最期かもしれぬこの出逢い。
…
やっと、32になって、腑に落ちたことがあります。
生きるということは、何をすることなのか。
かつて日本人は、「うた」を詠むことで、想いを託しました。
五七五七七のたった三一文字の中に、自分の人生を懸ける。
伊勢太夫は自分と先祖の全尊厳をかけて詩を詠み、窮地を切り抜けました。
小野小町は生涯誰にも捧げなかった、恋の歌を詠みました。
それは、とてもとても、心の燃ゆる想いと言うか。
格好つけて、創り上げるのではなく、本当に心が激しい流れの中で生み出すものじゃないかと思うのです。
人、という字は、人と人が支えあって出来ています。なんて、金八先生は言われましたが。
「人」とは、他人がいて初めて「人」として認識出来ると思います。
自分より綺麗な人、綺麗じゃない人。
自分よりやさしい人、嫌な人。
自分よりセンスの良い人、悪い人。
生物的に「ヒト」であるならば、他人は必要ありません。
でも、「人」であるならば、人として生きるならば、他人が絶対に必要です。
他人が見つけてくれるから。過去の自分。今の自分。なりたい自分。良い自分。悪い自分。
「人」とは、「人生」とは、「出逢い」なのだと思います。
目の前に出逢えた人を大切にすること。
それは、自分の人生を大切にすることなのだと思います。
目の前の人に全力を尽くすこと。
それは、自分の人生に、全力を尽くすことだと思います。
今日逢う人を、大切に。
そして、着物は、風彩染の着物は、最高の出逢いの補助をします。
そんなお着物を染め、着て頂くこと。
それが、僕の人生です。
コメント