テーマ・技術

テーマ

「風彩染」というこの工房でしかない「ぼかし技法」を用いて染めます。「風」とは、優しく吹く風でもあり、遠き過去から吹く心の風という意味もあります。「風」と言う言葉は、日本人にとって、とても大切な言葉なんです。

かつて「気風」と書いて「かぜ」と呼んだそうです。「風」を、人の気持ちや心の流れと感じたのは、日本人独特の感性なのかもしれません。楽しい風。わくわくする空気。何か問題に当たれば向かい風と呼び、優しい人とのゆっくりと流れる時間は、優しい風が吹いています。

そんな色々な気持ちを「風」と表現するのは、日本人の根幹だと思います。

それぞれの「心の風」を染めたい。

凛と粋な方の風。

華やかさに柔らかさと可愛さをスパイスした方の風。

凛とした可愛さの奥の吸い込まれるような風。

誰よりもカッコよく着てやろうという気概のある風。

刷毛と心で染める。一度限りの風。

ここにしかない着姿。

「風彩染」は、その表現技法を登録する、商標登録作品として、特許庁に登録されています。だから、ここにしかない着姿になります。

「全て手染め」


海藻で作った水で生地を濡らしながら、筆と刷毛を使い染める、「濡れ描き友禅」というぼかし技法を源流とします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一真工房の着物は、100年以上同じ場所で、昔ながらの手工業で作られる、経済産業大臣の伝統的工芸品に指定されています。

風彩染は、日本人が愛し続ける「ぼかし染め」

 

ぼかし染めとは


1200年続くのが、ぼかし染めです。平安時代に生まれた『源氏物語』などに表現される「あさぼらけ」のような、はんなりした雰囲気を具現化するには、ぼかし染めは欠かせません。お茶席ではぼかし染めが最上と言われた時代もあり、裾のぼかしを「すそご」、全体のぼかしを「むらご」と言います。

着物の技法も様々ありますが、金彩にしろ、ロウケツにしろ、絞りにしろ、「ぼかし」を無視した作品に、情緒や優しさを感じることは難しいように思います。言葉遣い一つも、何もかもはっきりモノ申す言い方を我々はしません。どこか、「ぼかす」わけです。それは、日本人の自然と一体の建築や、寺でも神社でも同時に受け入れる曖昧さなどとも繋がることかと思います。日本人の心のふるさとが、この「ぼかし染」なのだと思います。

技術

こちらでは、こだわりの「技術」のお話をさせて頂きますね。

そもそも着物の工程はたくさんの段階を経て出来ていきます。大雑把に書けば、「図案」「下描き」「線描き」「色挿し」「ぼかし」「引き染」「金彩」それぞれの間に色留めのための「蒸し」や余分な成分を流す「洗い」や、縮んだ生地を元に戻す「のし」など、数多くあるわけです。

一真工房が出来るのは、「水洗い」と「のし」以外の全て。これは、京都でもとても珍しいことになります。

その中でも、特に珍しい技法をいくつかご紹介致します。全てが、一真工房の美しさの秘密になっています。

柄の縁取りは、墨の線描き。「カチン描き」

カチン描きは、桃山時代からの技法と言われる、線描き技法です。

着物生地は、絹です。にじみをコントロールして、極細密の絵を描きます。これほどの細密は、日本の中でもほとんどありません。

それは、着姿の繊細な美しさ、細かな表現力に繋がっていきます。

色を付けていく

さらに、そこに色を付けていくのですが、これが通常の京友禅・加賀友禅より難しくなります。通常ならば、「カチン描き」の代わりに、「糸目糊」というもので縁取りを取るわけです。だから色がはみ出さない。そして縁取りの糊の所は最後まで色が入らないので、白い縁取りとして残るのが一般的な友禅染の特徴なのですね。風彩染には糊は使わないので、白い縁取りはありません。

なので、カチン描きが細ければ細いほど、後の色挿しが大変になるわけです。

筆で直接描いていく「素描友禅(水墨画)」

素描友禅は、100人いた歴代の職人の中でもごく数人しか描けません。

着物は先述した通り「分業制」です。そもそも絵が描けないという方も多いですし、絵に関しても、色を付ける人と、図案を描く人は違ったりするわけです。

しかし、素描友禅はそうはいきません。まさに絵画を一発勝負で描いていく水墨画になります。

 

また、一真工房のお花の絵は、生け花から来ています。

母一真けいこは、未生流の師範として19歳の頃からお花の教室もしておりました。その構図には、着物を超えた日本の息吹が吹き込まれております。

風彩染

最も特色となるのは「風彩染」という商標登録の染め方です。

技術の高さ

様々な技術が一真工房の着物にはこもっています。その一例として、「合口(あいくち)合わせ」をご紹介致しましょう。

着物は縦約13メートル、幅約40センチの反物の状態で染めるのはご存知でしょうか?なのに、縫ったら絵柄がピタリと合う。これが技術なんですね。

その中で、最も難しいのが、「ぼかし染めで色を合わせること」なんです。

 

 

「二枚の水彩画を描いて、一枚に揃える」と言えば、分かりやすいでしょうか?

風を描くためには、芸術家のアドリブだけでは決して出来ない、カチッとした仕事をする職人気質も必要な、両方兼ね備えた技があるのです。

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