文アル泉鏡花のお着物錬成プロジェクト①お仕立て編

その①2024年11月頃。まずは、染めるより先に考えることがありました。

いよいよ制作に先駆けて、泉鏡花イメージのお着物は様々な「仕立て」の問題がございました。
 
この世に本来存在しない「スタンドカラー」や「タスキ」、「組紐」。仕立て師の方と相談を重ね、リアルに引き寄せていくため、試行錯誤が続きました。
 
 

スタンドカラー

スタンドカラーと呼ばれる「衿」が、「スタンドカラー」と呼ぶことすら、お恥ずかしながら、最初存じ上げませんでした。洋裁であれば当たり前のことも、泉鏡花の時代に、和裁の職人が通常の羽織に付ける時にどうするか、と考えてみるのも面白いものでした。
高さや固さ、紐を通す穴の大きさなど、何度も試作を作ってくださいました。
 
 

高さや、角度、色んな泉鏡花のお写真を一緒に見比べながら、「正解」を導き出していきました。

後姿はどうなっているのだろう、とか、和裁の人がこの衿を作ったら、どう付けるのだろう、などなど。。。

色に関しても、本体の色を選ぶと、色濃いところのイメージが足りないかもしれなかったり、美しいけれど重みがある、など、現実の感覚に落とし込みつつ、忠実さを目指しました。

 

タスキ

こちらも、意外と難しいものでして、しっかりと縫製を考えないと、泉鏡花のような形に出来ないのです。

実は、あのタスキも身体に沿わすのは職人技が要ります。

「タスキ」も実はすごく考えられています

緑の紐をご覧ください。掛けるだけだと、背中でくるりと布が立って、ピタリと背中に付かなくなってしまいます。ですので、実現には仕立ての工夫が大変必要なのです。お仕立ての方のご家族に、泉鏡花と身長の近い方もいらしたので、身体をお貸し頂いたり、ほんのわずかの生地の固さもこだわったり。。

そして、ここまで出来上がりました!!

 

期待以上の所までこだわって下さり、仕立て方が完成したのを拝見した後も、さらに良くなるようにとまだ試行錯誤を続けてくださっているそうです。本当に頭が下がります。

 

 

そして、「組み紐」。

スタンドカラーから紐と羽織紐として実際の組み紐でこの形を作ろうとすると、ここにも匠の技が入っています。

取り外し可能にしてあります。

こちらは、僕と同じく、世界のLEXUSから都道府県の代表に選ばれた(LEXUS NEW TAKUMI PROJECTにて)、三重県の匠、伊賀組紐の松島康貴さんが製作してくださっています。松島組紐店

泉鏡花の絵とは紐の本数が違うところは、以下、こだわりポイントのコメントを頂いております☆

「イラストをみると紐に張りがあり、若干平たくもみえました。 特に紅葉の形の部分は水引で作ったかのような張りがありましたので、紐を太くして1本でするより 2本で平たさもあり、張りのある雰囲気にしました。 1本でも可能でしたが 細い紐だと弱々しく仕上がり、 太くすると針金が紐に負けてしまい、張りのない紅葉になります。 また、2本ですることで 紅葉のすぐ下の部分を表現する事ができました。」

単純な着物の形ではないため、様々な第一級の職人魂が集まっての仕上がりです。お披露目をお楽しみになさってくださいね☆

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