小さな粒を実現すること
泉鏡花の着物を拡大して見たときに、小さな粒のようなものが見えます。小さな粒を染めで表現すると、かなりしっかり出てきてしまう。どうしようかと考えたときに、4年ほど前からいつか使おうかと思って、保管しておいた吹雪地紋の生地を発掘しました。着物業界の最高峰「伊と幸」さんの白生地です。着物の中でも最高級品にのみ使用されるものになります。
実に繊細な色味
また、着物自体の色味も非常に繊細で、難しいのはむしろ上半身になります。
絵なので、影を水色で付けると白っぽく見えるわけですが、実際はこちらは白地。ですが、何人かの方とお話ししていて、「水色の着物」と仰る方が多いんですね。ここは、絵から実際のお着物への実現のポイントだと思いました.

3000色の色見本から選ぶのは楽しくも、根気のいる作業です。
そして染め上げたのがこちら!!

氷の柄は、同じ形でも、一つずつ表情を変えていきます。
泉鏡花の氷の結晶柄は、同じ形のものが使われておりました。ですので、実際染め上げる時は、配置と濃度が勝負です。絵そのままだと、面積が大きくなることで間がもたなくなりますし、印象は変えずに深みを持たせる作業が必要となります。
以下は、「衽」と言われる部分の製作途中です。着ていて普通に生活する分には見えない場所も、激しく戦うと見えてきますので、そのことも考えて、柄位置をとっていきます。

お披露目での公開を、お楽しみになさってくださいね☆
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