♥作品創りへのきっかけ♥
制作方法・素材の違いから、着物作家で傘用の生地を制作できる人は、通常おりません。
なぜ、この傘が出来たというと・・・
きっかけ一つ目
「お着物を染めているとき」です。
普段はこのように染めているのですが、手染めはプリントと違い、染めた時に、下のお写真のように、裏まで綺麗に染まるのも特徴の一つです。
それを、下からのぞいて、蛍光灯に透かしたときに、「綺麗だな~っ」って思ったんですね。以来、NHKのドキュメントの中でも「カーテンだったり日傘だったり」染めたいと言っていた所でした。
風に包まれる日傘。さしているとき、綺麗って思って頂けたら、とても嬉しいです。
きっかけ二つ目は、「LEXUS NEW TAKUMI PROJECTの2016年京都の匠に選ばれたこと」です。
これは、凄いチャンスでした。素材が違うものに、誰もしたことが無い染を施すというのは、研究の時間がとても多く、費用も掛かります。その上、発表の場も必要となります。「そろそろ染めてみたい」と思ったときに、京都新聞社さまから候補のご連絡を頂きまして、挑むことにしました。
着物と違い、蒸すとまったく色目が変わってしまうので、思い通りの染が出来るまで、8カ月かかりました。データを取っても、手具合や生地で見え方も変わります。だから、陶器の釉薬のようなものかと。けど、この時得た技術が無ければ、どんなに腕が上がっても、手染めの日傘は着物作家には染められないんです。それに挑戦で着たことは財産になりました。
そして3つ目のきっかけは、
「妻が、自分で染めて、正絹の日傘を染めちゃった」んですね。
その可愛さと、周りの方の反響に、ものづくり魂に火が付きました。そして、そんなものが出来たなら、欲しいと仰ってくださった方のお声に背中を押されました。
そんなこんなでやっと生まれた日傘。持ってるだけでワクワクしちゃいます。
どうぞ、ご高覧下さいませ。