一反の着物を工房内で仕上げられること
京都の染の着物は、「分業制」が基本となっています。
スケッチやひな形(小さな着物の形に絵を描くもの)→下描き→色付け→ぼかし染め→無地場染め→金彩加工
間に色々工程があり、20ほどあるのですが、大きく区切って、これらを経て、一反の着物が出来上がるんですね。
工房の中で、一反の着物を仕上げることも出来る技術力は、今、京都でも特に貴重と言われています。
図案・ひな形
細密の線描き「カチン描き」・色付け
濡描き。
引き染。
糊の枠なしでの細密色挿し
そうして出来上がった反物。
本当に完成させるのは、ただ一人との出逢いなのです。
柄行きのこだわり
古典の西陣や京友禅と違い、流行り廃りの激しい作家染物の世界の染屋としては長い歴史を持つ、4代続く工房。
作った柄は、1000を軽く超えています。
一貫生産の工房だからこそ、その細部に至るこだわりや、芯の貫く明快さは成し得ます。
時代によって変わる人の心は、そのままデザインとして反映されていきます。
流行りを追いかけるのではなく、いつの時代も斬新と言われる柄行きを作り続ける。
お客様とのこんなエピソードが良くあります。四代目洋平が、呉服屋様にて出張している時のこと。
「あら~斬新ねえ。さすが若い方のデザインね。」
と、お褒め頂けるんですね。
それが、ほんとに僕のデザインの時もあれば、師匠のデザインの時もあります。
「ほかに無いですね」
呉服屋さまの、店主方によく仰って頂けます。
そんなもの創りを、これからも心がけたいと思います。
だからといって、古典ももちろん素敵です。が、そのまま染めるわけにはいかないのが作家の腕の見せ所。
古典柄「麻の葉」を雪の結晶に見立てた名古屋帯:四代目洋平作品
そして、どんなに趣向をこらしても、着物の方が目立つようなことは決してしません。
たとえばお顔もとにどんな柄を持って行くか。
続きは、工房で、是非ご覧ください。